book
  • ドイツ語名

    Liebe am Papierrand (Yoko Ogawa)

  • 日本語名

    余白の愛 小川洋子

  • 本を読んだ人の感想

    まずはオーストリアの小さな村の本屋で...


    まずはオーストリアの小さな村の本屋で、「YokoOgawa」の文字が目に入りました。
    こんな田舎町でも日本が浸透していることが思わず嬉しくなり、手に取りました。読み始めてすぐに思ったことは、ドイツ語なのに非常に読み易いということ。
    今までドイツ語の小説で、ここまでスラスラと読め、ストーリーに入り込めたものはこれが初めてです。

    日本語が原語ということもあるでしょうが、読み易さのポイントは、この作品が「わたし」という主人公により、主人公の日常が終始主観的にシンプルな言葉で語られていることにあると思います。
    ストーリーは靄の中を歩いているかのように静謐で幻想的。

    「わたし」の日常に登場する人物は数人のみで、淡々と彼女の日常生活が語られています。
    しかし、それは現実なのか幻想なのか。悲しさと危うさが紙面から溢れ、やがて読後にはあたたかくもせつない気持ちにさせられる物語です。
    ジャスミンの花をバックに床に座り込む日本女性(たぶん)の表紙デザインは、多少、海外から見た日本のイメージという感じはしますが、話の内容にマッチしていてとても綺麗です。
    ひとつの作品を違和感なくドイツ語で読了できました。
    これを機にまたドイツ語で小川洋子作品に挑戦してみようと思いました。おすすめです。

    ISBN-13 978-3746631233

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